日本の家庭料理を代表する一品といえば、やはり「卵焼き」ではないでしょうか。お弁当に入っていると、ほっとする。朝ごはんに並ぶと、気持ちが落ち着く。シンプルでありながら、奥が深い。そんな卵焼きの魅力を今回はじっくりと掘り下げていきたいと思います。
１．卵焼きとは？出汁巻きとの違い
まずは基本から。卵焼きとは、卵を溶いて砂糖や塩、出汁などを加え、何層にも重ねながら巻いていく焼き方の卵料理です。フライパンで作る人もいれば、専用の四角い卵焼き器（玉子焼き器）を使う人もいます。
似た料理に「出汁巻き卵」がありますが、こちらは出汁の分量が多く、ふんわりとジューシーに仕上がるのが特徴。関東では甘めの卵焼きが多く、関西では出汁巻きのようにしょっぱめの味付けが好まれる傾向があります。
２．家庭の味、それぞれの「我が家の卵焼き」
面白いのは、家庭によって味が大きく異なることです。ある家では、甘さ控えめで出汁の効いた大人向けの味。一方、ある家では、砂糖たっぷりでおやつのような甘さ。具材を入れるかどうか、油を何で引くか、巻き方のコツなど、その家の「伝統」がにじみ出る料理でもあります。
筆者の実家では、母が作る卵焼きはしっかりと甘く、冷めても固くならずふわっとしていました。高校時代、友達とお弁当を見せ合ったとき、「え、甘いの？」と驚かれた記憶があります。でも、私にとってはそれが「普通」。その後、自分で料理を始めてから、甘さを加減したり、出汁を入れてみたり、いろいろと試しましたが、やっぱり母の味に戻ってしまうのです。
３．卵焼きのアレンジは無限大！
卵焼きの素晴らしいところは、アレンジの幅が非常に広いことです。青ネギや桜エビ、刻んだ海苔を入れて風味豊かにしたり、チーズやハムを巻き込んで洋風に仕上げたりと、食材との相性が抜群。さらに、和食だけでなく洋食や中華のメニューにもうまく馴染むのが卵の強みです。
また、小さな子どもでも食べやすいので、離乳食後期や幼児食にもぴったり。栄養価も高く、タンパク質をしっかり摂取できるので、健康志向の大人にもおすすめです。
４．卵焼きがくれる「安心感」
忙しい朝、キッチンに立って卵を割り、じゅわっと油の香りを感じながら焼く卵焼き。その光景には、どこか懐かしさと温かさがあります。特別な技術がなくても、誰でも作れる料理でありながら、作る人の心が伝わる。卵焼きには、そんな不思議な力があると思います。
お弁当にそっと詰められた卵焼きには、「今日もがんばってね」というエールが込められているように感じます。それは母から子へ、夫婦で、または自分自身への応援の気持ちかもしれません。
最後に
卵焼きはただの卵料理ではありません。日常の中にある優しさや思いやり、家庭の記憶、そして文化までもが詰まった「食の宝物」だと思います。たかが卵焼き、されど卵焼き。あなたの家の卵焼きには、どんなストーリーがありますか？
