日常の中で私たちは常に「足し算」をして生きています。
仕事のスキルを増やし、知識を増やし、人脈を広げ、モノを所有する。
しかし、人生を豊かにするのは、むしろ「引き算」ではないでしょうか。
１．学校で習った引き算の本当の意味
小学校で最初に学ぶ算数の一つが「引き算」です。
リンゴが5個あって2個食べたら、残りはいくつ？というあの単純な計算。
子どもの頃は「正しい答えを出すこと」に夢中でしたが、
大人になると「何を引くか」を選ぶことこそが、
人生の質を決める行為だと気づきます。
数字の上では単なる計算でも、
感情や人間関係、仕事の中では「引く」ことが非常に難しい。
人は足すことには快感を覚えますが、
引くことには不安や喪失感がつきまとうからです。
２．心を軽くする“引き算の思考”
たとえば人間関係。
無理に誰かと付き合い続けて疲弊してしまうより、
そっと距離を置くことで心のバランスを取り戻せることがあります。
また、仕事でも同じです。
「あれもこれも」と抱え込むより、
本当に必要なタスクだけを残して他を削ぎ落とすと、
集中力が増し、成果も上がります。
断捨離やミニマリズムの思想も、
結局はこの“引き算の哲学”に通じています。
余分なものを取り除くことで、
本当に大切なものだけが浮かび上がってくる。
３．歴史が示す「引き算の美」
日本文化にも、引き算の美学が息づいています。
茶道や禅の世界では、余計な装飾を削ぎ落とし、
「間」や「静けさ」を重んじる。
俳句の十七音も、言葉を削りに削った末に生まれる表現です。
たとえば松尾芭蕉の「古池や蛙飛びこむ水の音」。
わずか十七音に、季節の気配と命の動きを封じ込める。
それはまさに、引き算によって完成した詩の極致です。
最後に
現代は情報もモノもあふれる時代。
だからこそ、意識的に「引く」ことが必要です。
予定を減らす。
スマホを見る時間を減らす。
不安を増やすニュースから少し離れる。
そうすることで、心の中に余白が生まれ、
自分の声を聞けるようになります。
引き算は決してマイナスではなく、
新しい可能性を生むための「余白づくり」なのです。
今日一日、あなたも何かひとつ「引いて」みませんか？
そこから、驚くほど豊かな時間が流れ出すかもしれ
